
蕪村の十宜図から宜秋図。もとになった李漁の詩「伊園十宜」のうち「宜秋」は次のとおりである。
門外時時列錦屏 門外時時錦屏列なる
千林非復舊時青 千林復た舊時の青さにあらず
一從澆罷重陽酒 一に從って澆(そそ)ぎ罷む重陽の酒
醉殺秋山便不醒 秋山に醉殺して便ち醒めず
門外には折から赤く色づいた垣根が連なり、周囲の林の色も青くはなくなった、まっすぐ流れて来るのは重陽の酒、秋の山中すっかり酔っぱらって眠りこけてしまった
紅葉に囲まれながら、重陽の節句の酒を飲んで、すっかり酔っ払ってしまった、という雰囲気を歌った詩である。
垣根に囲まれた山荘と、門外には赤く色づいた木を配す。背後にはある山は、重陽の節句に登る山だろう。蕪村は、この漢詩のイメージをよく捉えているといえよう。
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