醍醐寺三宝院、渉成園:京都観庭記その二

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(醍醐寺三宝院)

醍醐寺には以前訪れたることあれど、その折には三宝院に立ち入らざりき。この日は逆に、醍醐寺の本堂構内には立ち入らず、もっぱら三宝院の庭を見たり。この庭は秀吉により作られたるものにて、桃山時代の様式を伝ふるものとして貴重な遺構なる由。

庭は池泉鑑賞式にて、書院の座敷より見下ろすなり。池の上に鶴・亀の両島を設け、岸と島との間を土橋・石橋、板橋もて結ぶ。天下人秀吉らしく天下の名石藤戸石を聚楽第より運び込むといふ。石組みのさまをはじめ全体として華麗なる印象を与ふるは桃山時代を代表する名園の名に恥じず。

三宝院を出て醍醐駅に向かって歩む、両膝再び痛み出し、歩くに難儀す。地下鉄駅のホームを下らんとするにエスカレータもエレベータもなし。長い階段を、足をかばひながらゆっくりと降りたり。往路と逆の行程をたどり、山科にて乗り換へて、京都駅に戻る。

ときに三時前なれば、ホテルにチェックインするにはいささか時間の余裕あり。このままホテルに行って、ロビーに休まんとも思いしが、ホテルよりわずかの距離のところに渉成園あり、膝もなんとか持ちさうに思へたれば、思ひ切ってそこを訪ふこととす。

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(渉成園印月池)

渉成園は東本願寺の別院なり。枳殻邸ともいふ。庭に枳殻を多く植うることに由来すといふ。大規模な池泉回遊式庭園にて、石川丈山の作になる由。丈山は徳川時代初期の庭師にて、詩仙堂を作庭せることで有名なり。この渉成園の庭園は詩仙堂とは比較にならぬほど壮大なり。

大小二つの池あり、両者を小さな水路もて結ぶ、大きな池を印月池といひ、中に二つの島を浮かぶ。北側の池には二つの木橋かかり、周囲の自然と調和して美しき景観を呈す。池水は小さな池の傍らより沸き出づる清水より供さるるなり。

三時半過ぎにホテルにチェックインす。疲労と膝の痛みに悩む。とりあえず止痛剤を飲み、しばしベッドに横たはりて休息す。

六時半過ホテルを出て夕餉をなす場所を探す。膝に痛みあれば遠出することをせず。駅ビル地下の食堂街なる一飯屋に入りて、刺身やら串揚げやらを食ひつつ酒を飲む。店内結構込みあひてあり。場所の利によるなるべし。

部屋に戻り、一日の日記を整理して後、風呂を浴び、ウィスキーを舐めつつくつろぎたり。膝には湿布を貼り、止痛剤も飲みたれば、明日はなんとか歩くことをうるならん。







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