蕪村の十宜図から「宜晩」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十宜」のうち「宜晩」は次のとおりである。
牧兒歸去釣翁休 牧兒歸り去って釣翁休む
畫上無人分外幽 畫上に人の分外に幽たる無し
對面好山才別去 好山に對面して才(わずか)に別れ去る
當頭明月又相留 當頭明月又た相ひ留まる
牧兒が帰ってしまったあと釣翁が一人で休んでいるが、この絵には人の気配がほとんどない、好山に対面するにその距離はわずか、頭上には名月が上がっている
詩に名月とあるから夜の風景を歌ったものなのだろう。題名に「宜晩」とあるのは、すてきな夜という意味だ。それにしては、この画面からは、夜の雰囲気が伝わってこない。だが山林の幽邃な雰囲気は伝わってくる。
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