スチュクスを渡るダンテとヴィルジリオ:ブレイクの「神曲」への挿絵

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ダンテとヴィルジリオが塔の下にたどり着くと、やがて一艘の舟がやってきて、二人を乗せ、ディーテへ向かって進んで行く。ディーテはスチュクスの沼に囲繞された町で、堕天使と重罪人が落ちるところだとされる。

 續いて語るらく、高き城樓の下を距るなほいと遠き時、我等は目をその頂に注げり
 これ二小さき焔のこゝにおかるゝをみしによりてなり、又他に之と相圖を合せしありしも距離大なれば我等よく認むるをえざりき
 こゝにわれ全智の海にむかひ、いひけるは、この火何といひ、かの火何と答ふるや、またこれをつくれるものは誰なりや
 彼我に、既に汝は來らんとすることを汚れし波の上に辨ちうべし、若し沼の水氣これを汝に隱さずば
 矢の絃に彈かれ空を貫いて飛ぶことはやきもわがこの時見し一の小舟には如かじ
 舟は水を渡りて、我等のかたにすゝめり、これを操れるひとりの舟子よばゝりて、惡しき魂よ、汝いま來れるかといふ
 わが主曰ひけるは、フレジアス、フレジアス、こたびは汝さけぶも益なし、我等汝に身を委ぬるは、泥を越えゆく間のみ
 怒りを湛へしフレジアスのさま、さながら大いなる欺罔に罹れる人のこれをさとりていたみなげくが如くなりき
 わが導者船にくだり、尋で我に入らしめぬ、船はわが身をうけて始めてその荷を積めるに似たりき
 導者も我も乘り終れば、年へし舳忽ち進み、その水を切ること常よりも深し(地獄篇第七曲から、山川丙三郎訳)


絵は、ダンテとヴィルジリオを乗せた船が、ディーテに向かってステュクスの沼を渡っていくところを描く。








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