蕪村の十宜図から「宜晴」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十宜」のうち「宜晴」はつぎのとおりである。
水淡山濃瀑布寒 水淡く山濃くして瀑布寒し
不須登眺自然寬 登眺するを須(もち)いずして自然寬かなり
誰將一幅王摩詰 誰か一幅の王摩詰を將(もっ)て
曬向當門倩我看 當門に曬(かざ)し向かひて我に看んことを倩ふ
水は淡く山は色濃く瀑布が寒く落ちる、わざわざ山に登らんでも伸びやかな気持ちになる、誰だ、王維の絵を我が門前にかざして、私に見よといっているのは
前半は山荘にいながら伸びやかな気分になれることを歌い、後半ではその山荘からの眺めを王維の山水画に喩えているのであろう
絵には、峨峨たる山に囲まれた山荘の静かな雰囲気が描かれている。
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