蕪村の十宜図から「宜陰」図。もとになった李漁の漢詩「伊園十宜」のうち「宜陰」は次のとおりである。
煙霧蒙蒙莫展開 煙霧蒙蒙として展開せず
好詩憑著黑云催 好詩は黑云の催せるあいだ(憑著)になる
卷帘放卻觀天眼 帘(すだれ)を卷いて放卻し天眼もて觀れば
多少奇峰作意來 多少の奇峰作意來る
煙霧が蒙蒙と降って視界が開けない、だが好詩は黒雲の垂れ込めているうちに作るものだ、すだれを巻き上げてよく見れば、多少の奇峰が作意を催す
黒雲の垂れ込める山の様子を歌う。そんな黒雲こそ好詩をつくるように作意を催すものだと逆説的な言い方をしている。
絵は、厚い雲に覆われた山々の様子を描く。詩に言うような黒雲ではないが、好詩の作意を催すには足るようである。
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