預言者ダニエル:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」

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ダニエルはバビロンに捕囚された預言者で、その類稀な能力によって、ネブカドネサル、ペルシャザール、ダレイオスという三代のバビロン王に重用された。「ダニエル書」は、ダニエルの足跡を記すとともに、世界の終末についてのダニエルの予言を記述したものである。

ダニエルは、王たちの見た夢をもとに、王自身とその国の命運についてたびたび予言した。いわば夢占いのようなことを行ったわけである。ダニエルの予言はそのたびに的中し、あなたはすぐに滅びるだろうという予言はたちまちに実現した。そんなこともあって、ダニエルは王の延臣から警戒された。ライオンの大勢いる折の中に閉じ込められたという有名な逸話は、ダニエルに対する人々の恐れを物語っていると言えよう。

ダニエル書は、世界の終末について語っている。これは世界の終末と最後の審判についてのキリスト教の信仰を先取りするものとして重要視される。しかも最後の審判の場における人の子の到来や、彼による「永遠の国の樹立」にも言及している。ここで「人の子」と呼ばれているものを、後世のキリスト教徒はイエス・キリストと受け取ったのである。その部分は、以下のように記述されている。

「7:13見よ、人の子のような者が、天の雲に乗ってきて、日の老いたる者のもとに来ると、その前に導かれた。 7:14彼に主権と光栄と国とを賜い、諸民、諸族、諸国語の者を彼に仕えさせた。その主権は永遠の主権であって、なくなることがなく、その国は滅びることがない」(口語訳聖書)

ミケランジェロの描いたダニエルは、大きな書物を開きながらそれには目を向けず、違う方向に顔を向けながら、なにやらもの思いをしている姿であらわされている。その右手は板のようなものに置かれている。また大きな書物は、裸の子供によって支えられているが、この子供が誰をあらわすのかは、よくわからない。

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これはダニエルの背後の柱に施された男女一対のプット像である。







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