平等院:日本の寺院庭園

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現存する日本の寺院庭園でもっとも古い起源を有するものは、宇治の平等院の庭園である。平安時代の後期に藤原頼道によって造営されたこの寺院は、極楽浄土をイメージして作られたため、その庭園は浄土式庭園と呼ばれる。今日に伝わる浄土式庭園としては、奈良北郊の浄瑠璃寺や平泉の毛越寺が上げられる。

浄土式庭園は、寝殿造りをベースにしている。主要な建物である阿弥陀堂の前に池を設け、建物と池との一体感を強調するところに寝殿作りの影響が見られる。阿弥陀堂は極楽浄土をイメージしたものであり、その中には極楽浄土の主催者である阿弥陀如来が安置されている。極楽浄土は西方にあるとされることから、阿弥陀堂は西の方向に建てられ、東に正面を向いている。このように浄土式庭園は、極楽浄土を体現したものとして作られ、きわめて強い宗教意識を伴っていることが特徴である。

平等院は、平成の大修理と呼ばれるものを施され、極彩色によみがえったほか、両翼の橋が復元されるなど、創建時の姿に近づいたと言われる一方、こうした改修は文化財に対する無謀な扱いだとする批判もある。

上の写真は、阿弥陀堂の全体像を写したものである。中堂部分に阿弥陀如来像が安置されており、その像は、建物上部にうがたれた小窓を通して外から見えるように工夫されている。人々は池の反対側から、池に映った阿弥陀仏を拝むことが出来る。

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下の写真は、阿弥陀堂を斜め手前から眺めたところ。左翼の端に反橋がかけられ、その先に平橋がかけられている。二つの橋の間には中島が造られた。この写真を撮った平成26年の夏の時点で、尾翼はまだ改修中であった。





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