預言者ザカリア:ミケランジェロ「システィナ礼拝堂天井画」

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システィナ天井画のなかで、預言者ヨナの対角線上、つまり西側の壁の上部に描かれているのが「預言者ザカリア」の像である。ミケランジェロがシスティナ礼拝堂の天井に描いた七人の預言者のうち、唯一新約聖書に出てくる人物である。

ルカ伝の福音書には、ザカリアは洗礼者ヨハネの父として出てくる。ザカリアとその妻エリザベツは高齢になるまで子を授からなかった。そんな彼のもとにある日天使ガブリエルがやってきて、彼に子供が授かるだろうと予言した。高齢のザカリアがその予言を信じなかったところ、子が生まれてくるまで口がきけないようにされてしまった。やがて妻のエリザベツが身ごもり、月が満ちて男の子を生んだ。

生後八日目の割礼の日に、男の子に名がつけられることとなった。その折のことをルカ伝は次のように記述している。

「1:59 八日目になったので、幼な子に割礼をするために人々がきて、父の名にちなんでザカリヤという名にしようとした。1:60 ところが、母親は、「いいえ、ヨハネという名にしなくてはいけません」と言った。1:61 人々は、「あなたの親族の中には、そういう名のついた者は、ひとりもいません」と彼女に言った。1:62 そして父親に、どんな名にしたいのですかと、合図で尋ねた。1:63 ザカリヤは書板を持ってこさせて、それに「その名はヨハネ」と書いたので、みんなの者は不思議に思った。1:64 すると、立ちどころにザカリヤの口が開けて舌がゆるみ、語り出して神をほめたたえた。1:65 近所の人々はみな恐れをいだき、またユダヤの山里の至るところに、これらの事がことごとく語り伝えられたので、1:66 聞く者たちは皆それを心に留めて、「この子は、いったい、どんな者になるだろう」と語り合った。主のみ手が彼と共にあった」

その後この子が洗礼者ヨハネとなって、イエス・キリストに洗礼を施すこととなる。

ミケランジェロの描いたザカリアは、高齢の老人として描かれている。

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ザカリアの背後にいる子供たち。このうちの一人は、洗礼者ヨハネの少年時代の姿なのかもしれない。








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