ロシアの「極東地域土地無償払下げ政策」

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プーチンのロシア政権が、極東地域の土地をロシア国民に無償で払い下がるばかりか、その後最低五年間は課税を免除するという政策を発表した。その対象には、我が北方領土も含まれているため、日本のメディアにはこれを、北方領土の実行支配強化につながる動きだと懸念するものもある。

だがプーチンの意図は北方領土の支配強化ということより、極東地域全体の発展ということにあるようだ。極東地域はその膨大な面積にわずか700万の人口を擁するに過ぎない。しかも人口は減少傾向にある。このままでは極東地域がますます発展から取り残される、という危機感がこの政策につながったようだ。

プーチン政権がいま最も気にしているのは、極東地域と国境を接する中国との関係だ。極東地域に向かい合う中国北東部には1億人を超える人口が住んでいる。その人口が、新たな天地と機会を求めてロシア側に浸透しようとしている。それに危機感を覚えたプーチン政権は、中国側からの極東地域へのアクセスを制限する措置に踏み切った。

しかし、いまのままでは、極東地域の人口は持続可能なラインを下回ってしまうかもしれない。そうなれば中国からの浸透をいやいや認めねばならぬ羽目になる恐れが強い。そうなる前に、極東の人口減少に歯止めをかけ、あわよくば発展のタネを残しておきたい。

こんな配慮が働いて、このような政策を打ちだしたのだと思われる。ロシア政府の目標は、極東地域全体の人口を3600万人に増やすことだ。だがこの政策の結果、我が北方領土へのロシアの実効支配が強まるのは、我が国としては座視できない。(極東地図はWikiTravel から)






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