婦人の肖像:レオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画

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「婦人の肖像」もミラノ時代に描かれた肖像画の一つだ。同時期の作品「白貂を抱く婦人の肖像」と比較されることが多い。どちらも、上体を斜めにして顔を観客のほうに向けた構図だとか、強い明暗対比などがそのおもな要素だが、一番の共通点は、額に着けた飾り(フェロニエール)だ。

「白貂を抱く婦人」の場合には宝石をつけない鎖を額に飾っているが、この絵の婦人は鎖に宝石をつけている。そんなところからこの絵には「ラ・ベル・フェロニエール(美しい額飾り)」という別名があるが、実はその名称は「白貂を抱く婦人」の左上部にも書き込まれている。

また、この二つの作品は、同じ板材に描かれたとも指摘されている。そんなわけで、同じような時期に、同じようなテーマを意識して製作されたのだろうと、推測されるのであるが、この絵については、ダ・ヴィンチへの帰属を疑う見方もある。今日の通説は、ダ・ヴィンチ自身によって製作された後に、別人の手で加筆された可能性があるというものだ。

この絵もモデルについては、決定的な証拠はないが、チェチリアと並んでスフォルツァ公の恋人であったルクレツィアだろうとする見方がある。(板に油彩 63×45cm ルーヴル美術館)






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