
(右半分)
「峨眉露頂図巻」の「峨眉」とは、李白の詩「峨眉山月歌」で歌われた四川省の山、山容の美しさから美人の眉に喩えられた。この絵は、その峨眉山の頂上を描く。「露頂」とは、山の頂上があらわになった様子を言う。
これは全体画面の右半分で、右端に「峨眉露頂 謝寅」の署名がある。薄い墨で山の輪郭とゴツゴツした山肌の様子をざっくりと描いた後で、天空を薄墨でさっと塗り、岩肌の部分には代赭をうすく塗って、変化をつけている。

(左半分)
これは全体画面の左半分。山の形が右半分のものとはかなり違うが、これが峨眉山の実際の山容を意識してのものか、よくはわからない。
左端に近く、墨をぞんざいに塗り残すことで三日月を表現している。これが李白の詩を意識しているのは間違いないだろう。
左端に近いところには、紙に畳の模様のあとが見える。紙が大きすぎて、毛氈からはみ出してしまったのだろう。(28.8×240.5cm 紙本墨画淡彩)
壺斎様
<左端に近いところには、紙に畳の模様のあとが見える>
そうですね畳の目が写っていますね。半輪の月がやけに大きい。左の方は明るく描いているので、月を大きめに(?)描いたのか。
筆は力強く峨眉山の岩を表現している。
李白の漢詩をモチーフにして想像を膨らますため、李白が愛してやまなかった酒を蕪村も飲んでこの絵に臨んだのであろうか?筆の動きは自由奔放に思えるのだが・・・・
2016/7/22 服部