楽志論図巻:池大雅の世界

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楽志論とは、後漢の仲長統の書であり、乱れた世相を慨嘆し、隠遁の生活を賛美したものである。この絵は、その書の内容をイメージ化したもので、山荘のなかで悠々自適の生活をおくる隠者たちを描いている。なお、巻物の冒頭には柳沢其園による題字が書かれ、巻末には祇園南海によって全文が書かれている。

絵の技法としては、本格的な南宗画の描法が採用されている。やわらかい描線や、点描画を思わせる技法などが、この絵の大きな特徴である。色彩的には、藍や代赭などをうすく施し、淡彩風に仕上げている。

池大雅初期の南宗画風作品を代表するもので、寛延三年(1750)大雅馬歯二十八の年の作である。(28.3×135.0cm 紙本淡彩)

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これは隠者の部分を拡大したもの。右側の隠者は琴をもてあそび、左側の隠者は湯を沸かしているのだろう。団扇をもっているのは、火をかきたてる為ではないか。






コメント(1)

壺斎様
 長閑な隠遁生活を描いている池大雅は、このような世界にあこかれたのだろうか。老成した画家の描いた絵のようにみえるが、どことなく若さが感じられる。どうしてかと考えてみるがわからない。
 それにしても多くの書物がある庵は隠者には必要不可欠なものであったのか。樹の描き方が変わっている。
 2016/8/10 服部

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