子どもに菜食主義を強要することの是非:イタリア議会が熱い議論

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たとえ親と雖も、自分の菜食主義を子どもに強要してはならない。子どもに菜食主義を強要し、その結果子どもを深刻な栄養失調に至らせた場合には、最大七年の禁固刑に処す、こんな内容の法案がイタリア議会に提出され、目下それを巡って熱い議論が展開されているそうだ。

この法案を提出したのは保守政党のフォルツァ。フォルツァがこんな法案を提出した背景には、最近菜食主義者の親に育てられたこどもが栄養失調になり、健全な発育を妨げられているという事案が続出したことがある。イタリアと言えば国民の美食で鳴らした国だ。そんな国で菜食主義が流行っているばかりか、それを自分の子どもにも押し付ける親が増えているというのは、ちょっと不思議にも思えるが、美食主義者の多いイタリアでは、こうした菜食主義にまつわるスキャンダルは目立つのだろう。

たしかに、野菜ばかり食わされたら、子どもは健全に発育できないだろう。成熟した人間の場合には、菜食主義は個人の選択の問題だとして片づけられるが、ことが子どもにかかわる場合にはそうとばかりも言ってられない。なにしろ子どもは親の専有財産ではなく、社会全体の宝だ。その宝を親の一存で損なうのは許せない、こう言ってこの法案をプロモートするフォルツァは、イタリアの良き伝統の守護者を気取っているらしい。

だが反対の意見もある。食文化は権力が強制するものではない、というのがその主なものだが、中には、今のイタリアの子どもが直面しているのは肥満の危険であって、菜食主義の危険はそれに比べれば十分コントロール可能というものだ。





コメント(1)

壺斎様
 菜食主義者の家庭に育てられた子供達は、健全に育たないのだろうか?。
栄養失調に陥った子供の親はどんな親なのだろうか。子供の状態をみてどうすべきか判断できなかったのだろうか。謎めいた話である。

 食によって、その国の民族性にも影響を与えることがあるのだろうか。日本は仏教の教えによると思われるが、7世紀の終わり頃肉食を禁じたと言われている。しかし魚介類は何故か禁じられていない。公には肉類を食さなかったことは、民族性に影響を与えてきたような気がする。
 禅の食事を考えれば、禅寺に育った子供は菜食が主ではなかったか。
 
 日本では、テレビに流される番組は食に関することが多すぎる。これが文化国家なのだろうか?
 2016/8/12 服部

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