事故を気にしていたら原発ビジネスは成り立たぬ:伊方原発再稼動

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四国の伊方原発が再稼動した。九州の川内原発の二基に続いて、実質的には三基目の再稼動になる。先日鹿児島県知事になった人が川内原発停止の意向を強く示しているなかでもあり、また、伊方原発自体にも様々な問題が指摘されている中での再稼動とあって、どうみても無謀な見切り発車といわざるを得ない。

まず、伊方原発自体の問題点。この原発は南海トラフ地震が起きた場合の最前線に位置する、それに加えて先日九州の大地震を起こした断層帯が付近にまで伸びている。そうした事情を抱えたなかで、果たして巨大事故に耐えられるだけの万全の備えができているのか、かなりな疑問がもたれている。また、事故が起きた場合の非難計画のずさんさも指摘されている。この原発は、細長く伸びた佐田岬半島の付け根にあるが、その西側には5000人以上の人々が住んでいる。その大部分は65歳以上の老人たちだ。万が一原発が事故に見舞われたとき、この人たちが安全に非難できるのか、愛媛県の作成した計画を見る限りでは、まことに心もとないといわざるを得ない。

こうした懸念に対して愛媛県知事は、この原発は厳しい安全チェックをクリアしており、巨大事故が起こることはありえない。だから、安心して欲しいというような言い方をしている。しかしもしものことがある、というまっとうな疑問に対しては、そもそも起きるはずのないことを心配しても仕方がない、といって取り合おうとしない。

これは、一部の日本人に特有な、「都合の悪いことは起きて欲しくない、起きて欲しくないことは起きないことにしておこう、起きもしないことは想定する必要がない」、という理屈を反映したものだ。

このほか、この原発は、いわゆるMOX燃料を採用しているが、これについては最終処分の見通しもたっていない。これでは、某元首相がいったとおり便所のないマンションを売りつけるようなものだ。

こうした疑念に対して、事業者としての四国電力も、地元の愛媛県も、納得できる説明はしていない。そんな説明をし始めたら収拾がつかなくなると思っているからだろう。「事故を気にしていたら原発ビジネスは成り立たない」というわけか。

東京など首都圏の人々は、この再稼動に鈍感なように見える。他人事だと思っているのだろう。だが決して他人事ではない。この原発は、偏西風の通り道に位置している。だから偏西風の強い季節にメルトダウンが起ると、放射性物質は偏西風に乗ってあっという間に首都圏まで飛来する。首都圏の人々といえども、メルトダウンの直後に大量被爆するということになりかねない。

首都圏の人たちも、もっと想像力を働かせないと、ボヤッとしているうちに被爆させられてしまうだろう。





コメント(1)

壺斎様
 原発は将来に亘って安全が確保され続けることは可能なのだろうか。安全は神話になってしまったのではないか、この神話にすがりつくことをやめる勇気をもたなければいけない時期にきているのではないか。四国電力の経営の問題もあるかもしれないが、原発をやめる方向で議論を行う勇気を持つべき天の時がきていると思う。
 電力自由化になり安価な電気を優先的に通電するようになってきた。原発の発電コストは本当に安いのだろうか。使用済み核燃料の廃棄コストはどのように算定されているのだろうか。核燃料の廃棄処分方法が確定されなければ、発電コストが確定できないのではないか。安い電気代とは何を意味するのであろう。
 原発を稼働させなくても、現在なんとか電気の需要をまかなっている。別の本当に安全な発電方法を採るべきだと思う。
 2016/8/14 服部

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