エピアルテスと二巨人:ブレイクの「神曲」への挿絵

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ダンテらが前に進んで行くと、ずぬけて猛々しい巨人が、鎖で戒められた姿のまま、上半身を現していた。ヴィルジリオが、彼の名はエピアルテスと言い、ゼウス{ジョーヴェ}に逆らった罪で戒められ、その後地獄に落されてきたと説明する。

ダンテがエピアルテスに語りかけると、エピアルテスが巨大な地響きを立てて応えた。


 かくて左にむかひて我等遠くすゝみゆき弩とゞく間をへだてゝまたひとりいよいよいよ猛くかつ大いなる者をみき
 縛れる者の誰なりしや我はしらねど、彼鏈をもてその腕を左はまへに右はうしろに繋がれ
 この鏈頸より下をめぐりてその身のあらはれしところを絡くこと五囘に及べり 
 わが導者曰ふ、この傲る者比類なきジョーヴェにさからひておのが能力をためさんとおもへり、此故にこの報をうく
 彼名をフィアルテといふ、巨人等が神々の恐るゝところとなりし頃大いなる試をなし、その腕を振へるも、今や再び動かすによしなし
 我彼に、若しかなはゞ願はくは量り知りがたきブリアレオのわが目に觸れなんことを
 彼すなはち答へて曰ふ、汝はこゝより近き處にアンテオを見ん、彼語るをえて身に縛なし、また我等を凡ての罪の底におくらん
 汝の見んとおもふ者は遠くかなたにありてかくの如く繋がれ形亦同じ、たゞその姿いよいよ猛きのみ

フィアルテ忽ち身を搖れり、いかに強き地震といへどもその塔をゆるがすことかく劇しきはなし
此時我は常にまさりて死を恐れぬ、また若し繋を見ることなくば怖れはすなはち死なりしなるべし(地獄篇第三十一曲から、山川丙三郎訳)


絵は、鎖に戒められたエピアルテスを描く。エピアルテスは本文にあるとおり鎖を五重に巻きつけられている。彼の両側には二人の巨人が上半身を見せている。








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