西湖春景図屏風:池大雅の世界

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「西湖春景」は「銭塘観潮図屏風」とともに六曲一双をなす作品である。西湖・銭塘江とも南宋の都杭州近郊にある。大雅は無論実景を見たことはなかったが、これらは南宋の画家たちがこぞって画題とした眺めであり、日本の画家もそれに倣って描いた。大雅がどれをもとに描いたかはわかってはいないが、恐らくは中国から伝わった作品を手本として、それに大雅の想像をまじえたのだと思われる。

この絵は、西湖の全景をある一定の視点から眺め渡したように描かれている。西湖は周囲を高い丘によって囲まれ、中央には島が浮かんでいるように描かれている。実際の西湖は、周囲にそんな高い山があるわけではなく、又中央部にこの絵のような大きな島があるわけでもない。

大雅がなにをもとにして、このようなイメージを作り出したか、詳しいことはわからないが、中央の島は白楽天と蘇軾によって築かれた堤をイメージしているつもりなのかもしれない。((165.5×371.0cm 六曲一双 紙本淡彩))

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これは中央の島の部分を拡大したもの。島の延長部分には堤のようなものが伸び出ている。






コメント(1)

壺斎様
 池大雅は白楽天と蘇軾を尊崇していた。自分なりの西湖はこのようになってしまった。中国の特徴ある山に囲まれた力強い風景かつ優美であったのだ。
 池大雅は秦の始皇帝の時代まだ海であったことを知らなかったかもしれない。
 2016/8/26 服部
 

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