頭部の移植

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移植医療の進歩もついにここまで来たか! これは、人間の頭部の移植が具体的な日程に上るようになったという記事に接した時の筆者の率直な驚きである。角膜や一部の内臓の移植から始まり、いまでは四肢を含め人間の殆どのパートが移植可能になったとはかねがね聞いていたが、まさか人間の頭部まで移植できるようになるとは、夢にも思わなかった。それが、条件さえ整えば具体化できる事態にまで至ったというのだ。

人間の頭部の移植というアイデアを最初に持ち上げたのは、中国人の外科医任小平氏。氏はこれまでマウスを使った頭部移植に数多く成功しているほか、人間の四肢の移植にも成功している。その技術はいまや、人間の頭部移植も十分可能な段階に達しているということだ。

これにイタリア人のセルジョ・カナヴェロという神経外科医が絡んでいる。カナヴェロ氏は、医師としての能力は高いが、たとえば「女の誘惑の仕方」を研究するなど、奇怪な言動でも知られる。

この二人が組んで、人間の頭部の移植に向けて、準備が進んでいるということらしい。いまのところ、ロシア人のヴェルドニッヒ・ホフマン病(重症の神経障害)の患者が、ボディの移植を希望しているという。彼は全身がほとんど動かせない状態にあるので、ボディを移植することで、健常な身体を取り戻したいと考えているのだそうだ。

移植には数十人からかる大規模な医師団が従事することとなり、要する費用も莫大だが、なんとか条件をクリアして移植手術を成功させたいと、カナヴェロ氏たちは考えているそうだ。

しかし、いまの法体系を前提にすれば、アメリカやヨーロッパで実施するのはかなり困難だ。かりに手術が失敗し患者が死ねば、間違いなく殺人罪になる。そこで彼らは、最初の手術を中国で行いたい意向のようだ。中国がどのような法体系を持っているか、筆者にはわからぬが、他人同士の頭とボディがくっつくのを、どのように捉えているのだろうか。頭の持ち主がボディを移植してもらったというべきなのか、ボディの持ち主が頭を移植してもらったというべきなのか、とにかく難しい問題を抱えているのは間違いない。

(参考)Surgeons want to transplant a human head -- really -- and a Russian is offering his  By Nancy Szokan : Washington Post





コメント(1)

壺斎様
 <移植医療の進歩もついにここまで来たか!>
 全く同じ感想です。やはり、最初の手術は中国でと考えるのですね。
 身体は中国人でしょうかね、ロシア人と中国人が合体ということでしょうか。気持ちがわるいですね。
 ロシア人の脳味噌で中国人の身体は、脳味噌の指示通りに動きますかね?
 2016/9/1 服部

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