Alt-Right:新しい右翼運動

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Alt-Rightの Alt は Alternative の略だ。だから Alt-Right とは、もう一つの選択肢としての右翼、新しい右翼運動とでもいったらよいのだろう。アメリカではこの右翼が最近すさまじい勢いで台頭し、ドナルド・トランプを支持しているという。トランプの破竹の勢いの影には、彼らの運動が多分に影響しているらしい。

Alt-Right はインターネット空間を舞台に展開してきた。その点では日本のいわゆるネトウヨとよく似ている。ネトウヨが右翼的な言説を主張しながら、安倍政権に対して親和的であるように、Alt-Right は、ドナルド・トランプのナショナスティックで白人中心的な主張に共感している。

アメリカには反知性主義の伝統があって、歴史の節目ごとに大きなうねりを見せて来たが、最近はそれがトランプの過激主義と Alt-Right の極右的運動という形をとっているわけだ。どちらも共和党の伝統的な保守路線を生ぬるいと批判し、過激なナショナリズムを煽り立てている。

英誌 Economist によれば、Alt-Right の主張の特徴は、ナショナリズム、孤立主義、排外主義、人種差別主義、アンチフィミニズムといったところだ。彼らはアドルフ・ヒトラーを英雄視し、ヴラジーミル・プーチンに好意的だ。プーチンはロシアにとっての誠実なナショナリストで、その点は見習う価値があるという理由からだ。

彼らの排外主義は、反ムスリムと並んで反ユダヤ主義を煽りたてる。彼らがユダヤ人を憎むのは、ユダヤ人が最もリベラルで、人間の尊厳とか普遍的価値などという妄想をまきちらしているからだ。たしかにユダヤ人にはそういうところがある。彼らは迫害されてきた歴史を背負っているので、その迫害を批判するために、こうした価値の主張を必要としているということはある。人権の尊重でもっとも恩恵を受けてきたのは、アメリカではユダヤ系市民なのだ。

いまのところ、トランプのほうでは、Alt-Right に距離を置いているが、Alt-Right のほうはトランプを自分たちの希望の星扱いしている。日本のネトウヨが安倍晋三を希望の星扱いするのと同じような現象だ。

(参考)Pepe and the stormtroopers : Economist





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