山中雅会図:池大雅の世界

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高野山の塔頭遍照光院の大広間を飾る襖絵十枚を総称して「山水人物図」と言うが、そのうちの四面がこの「山中雅会図」である。この絵は、山中の小亭で雅会を楽しむ高士たちを描き、残りの六面のうち四面はこの小亭に向かっている人物たちを描き、二面が老松を描いている。遍照光院の建物自体は消失してしまったが、この襖絵は幸いなことに残された。

藍、代赭、朱といった顔料と金泥のくくりを組み合わせた彩色で、淡彩ながらも華やかさを感じさせる作品である。南画風ではないが、池大雅らしさが存分に発揮されたものとして、傑作に数えられている。

絵のモチーフは、晋代の隠者たちの交友を描いた「東林集会図」をもとにしているとする説がある。そうだとすれば、絵の中の三人の高士は、慧遠、陶淵明、陸修静ということになる。(一面あたり 168.0×91.5cm 紙本淡彩)

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これは小亭にいる高士たちの部分を拡大したもの。墨で力強い線を入れながら、ところどころ金泥のくくりでそれをぼかし、やわらかい雰囲気を演出している。人物の表情がなかなかよい。






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