白雲紅樹図:池大雅の世界

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「白雲紅樹図」は、池大雅の傑作として古くから名高い作品である。大雅の作品としては早い時期に重文に指定された。画題のとおり、白雲たなびく山中の秋の紅葉を描いたもので、描法はきわめて緻密でありながら、しかもゆったりとした雰囲気を失わないという点で、大雅の特徴がもっともよく発揮された一点である。

絵は厚く垂れ込めた白雲に浮かび上がる山中の光景を描く。懸崖から流れ落ちた水が渓流となって山中を流れる。その流れに沿った樹木が赤く色づいて秋のさかりを感じさせる。見るものを遠くへといざなってゆくような、不思議な力を感じさせる。

画面の下辺に一人の高士が従者を伴って瀑布を見上げているさまが描かれている。人を描き入れることで、ある種の温かみをかもし出すところは、大雅の特色のひとつである。(121.5×40.2cm 絹本着色)

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これは瀑布の部分を拡大したもの。白雲が横にたなびく様子が玄妙なタッチで描かれている。彩色もヴァラエティに富んでいる。






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