五百羅漢図:池大雅の世界

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宇治の黄檗宗寺院万福寺には、池大雅の手になる障壁画や壁貼画が数十点描かれていた。万福寺は大雅が少年時代からかかわりのあった寺院で、大雅は生涯の折節にこの寺のために障壁画等を製作した。五百羅漢図もその一部で、もともと開山の間に四面ずつ向かい合って、八面の襖に描かれていた。40歳代の作品である。現在は掛軸に仕立て直されている。

モチーフは、万福寺所有の元の画家王振鵬の五百羅漢図から取り入れた。襖絵に拡大するにあたり、紙縒りで線を引き、それに指頭画の描法で彩色した。大雅40歳代の指頭画としては唯一のものである。

上の絵は、羅漢たちの戯れあいを描いたもの。杖を両手で持って誰かに戯れかけている羅漢を、大勢の羅漢が見守っている。遊びの華やいだ雰囲気が伝わってくる。羅漢図に遊びの要素を取り入れたものは、非常に珍しいと言える。

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この絵は、どうやら読経の場面を描いたようである。机の上に広げた紙を何人かの僧侶が覗き込んでいるのは、経文を読んでいるところか。その手前では、何人かの僧侶たちが経文の巻物を広げている。

のどかななかにも、宗教的雰囲気を感じさせる作品である。(各180.8×114.7cm 紙本墨画淡彩)






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