小島湾真景図:池大雅の世界

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小島湾は、瀬戸大橋児島・坂出ルートの本州側の起点に当たるところにある。いまの岡山市の南側にあたる。古来風景の美しいところとして知られていた。池大雅は40歳代の半ばに友人の韓天寿と共に山陽を旅したことがあったが、この絵はその際に描かれたものだろうと推測される。

児島湾を囲む半島部分は小高い山が連なっている。大雅は山陽道からこれらの小高い山越しに瀬戸内を眺め渡した構図を絵にしたのだろう。実際にこんな高い山があるのかどうか、いまだ実景を見たことのない筆者には判断がつかないが、無論誇張はあるにしても、こうした雰囲気が感じられるのであろう。

瀬戸内の向こう側には四国の山なみが、山の手前には山陽道沿いにあると思われる家が描かれている。瀬戸内の海に浮かんでいる舟ともども、人の気配を感じさせる絵である。(99.7×37.6cm 絹本着色)

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これは小高い山の部分を拡大したもの。山肌を横向きの墨の線を重ねることで、遠近感を以て表現する一方、海の波も、手前から奥に向かって次第に線をぼかしてゆくなど、細かい配慮が行き届いている。







コメント(1)

壺斎様
 池大雅の造形と点描になんとなく違和感を覚えていたが、拡大された部分をみるとなるほど天才の絵だと実感いたします。
 波の表現が何ともユニークです。舟のならびかたもいい、みぎから光がくるところをみると朝のようだが。漁に出かける、あるいは漁をしている風景はのびやかだ。右下に二人いるが、風景をたのしもうと出かけてきたのか・・・
 遠くの四国の山並が独特なタッチである。ほのぼのとした気持ちにさせてくれる。
 2016/9/21 服部

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