火中に入ろうとするダンテ:ブレイクの「神曲」への挿絵

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猛火を前にして恐れひるむダンテをヴィルジリオが励まし、まず自分が火の中に入り、ダンテに続くように促す。その声に促されてダンテはあとに続き、そのあとにスターツィオが続いた。かくしてダンテは、ヴィルジリオとスターツィオに前後を守られる形で猛火の中を進む。そこに天使らの歌声が聞こえてきて、ダンテを励ますのだ。

 かくて彼我よりさきに火の中に入り、またこの時にいたるまでながく我等の間をわかてるスターツィオに請ひて我等の後より來らしむ 
 我火の中に入りしとき、その燃ゆることかぎりなく劇しければ、煮え立つ玻璃の中になりとも身を投入れて冷さんとおもへり
 わがやさしき父は我をはげまさんとて、ベアトリーチェの事をのみ語りてすゝみ、我既に彼の目を見るごとくおぼゆといふ 
 かなたにうたへる一の聲我等を導けり、我等はこれにのみ心をとめつゝ登るべきところにいでぬ 
 わが父に惠まるゝ者よ來れ。かしこにありてわが目をまばゆうし我に見るをえざらしめたる一の光の中にかくいふ聲す 
 またいふ。日は入り夕が來る、とゞまるなかれ、西の暗くならざる間に足をはやめよ。(煉獄編第二十七曲から、山川丙三郎訳) 


絵は、猛火をくぐろうとする三人を描く。ヴィルジリオが先頭にたち、後ろを振り返りながらダンテに続くようにうながす。ダンテは、ヴィルジリオとスターツィオに挟まれながら、猛火をくぐろうとする。猛火の中には数人の天使たちがいて、ダンテらに歌声で呼びかけている。








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