江戸橋夕暮富士、日本橋夜:小林清親の東京名所図

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(江戸橋夕暮富士 明治十二年)

江戸橋は、日本橋と並んで江戸の橋の象徴のような存在である。もともとは現在地よりやや下流にあったが、関東大震災後、昭和通りの開通にともない、現在地に移された。

橋の下に多くの船が行き来している様子が描かれているが、日本橋川は徳川時代には物流の大動脈として、日本橋あたりまで船が溯上していた。明治の初期にもその名残が見られたということだろう。

遠景に富士が見えているところから、橋の北側から南西の方向を眺めている格好になる。

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(日本橋夜)

これは日本橋通りの夜景を描いたものだろう。銀座が新たな商業拠点として登場してきたのに対して、日本橋は徳川時代から栄えてきた伝統的な商業地だ。格式ある町らしく、当時流行の先端だったガス灯が早くも設置されている。そのガス灯に照らされた道を、大勢の人々が行き交っている。

道路の真ん中を走っているのは、人力車と馬車だろう。日本人には馬車に乗る風習はなかったと思われるが、文明開化にともなって、絵にあるような乗り合い馬車も登場したのだろう。






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