フランス次期大統領は誰か:現実味を増すル・ペン極右政権

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来年のフランス大統領選挙を控え、中道・右派政党の予備選が実施され、フィヨンが一位に、ジュペが二位になり、大統領への返り咲きをねらっていたサルコジは敗退した。これを受けて、フィヨンとジュペとの間で決選投票が行われることになるが、これはフランスの未来にとって重大なものになると思われる。というもの、その勝者と極右政党NF党首マリーヌ・ル・ペンとの間で、大統領選が最終的に戦われることになると思われるからだ。その勝者が、次のフランス大統領となる可能性が、圧倒的に高い。

というのも、社会党のオランド大統領の人気が地に落ちて、いまや一ケタ台の支持率。オランドは無論、社会党の候補者はとても浮かび上がれないだろうと思われている。そこで、中道政党と極右政党との間で大統領選が最終的に争われる公算が強くなっているわけだ。もしもその結果ル・ペンが勝つようなことになったら、フランスは無論世界にとっても激震となるだろう。そのル・ペンは、勝利に自信を持っているようだが、それは根拠の無いことではない。アメリカでトランプが勝ったと同じようなことが、フランスで起きても不思議ではないからだ。

もしル・ペンが勝ったら、EUは崩壊するだろう。その結果、イギリスのEU離脱とトランプのアメリカ・ファースト政策によって拍車がかかったナショナリズムの傾向が、世界中を覆うようになるだろう。ナショナリスト同士は国境を越えて連帯することはないから、互いに排除しあう傾向が強くなり、世界は統一から分裂の方へと流れを変え、場合によってはバラバラになってしまうだろう。第二次世界大戦前夜と同じような光景が現出する可能性が高まっているわけである。

超保守に近いフィヨンと中道のジュペでは、ジュペのほうがル・ペンに勝つ可能性が高いと思われる。フィヨンでは社会党支持者の票は集められないが、ジュペなら一定程度それが出来るだろうからだ。それでも、フランスのナショナリズムの勢いに乗って、ル・ペンが勝利する可能性は無視できない。

トランプとル・ペンに象徴される排外主義的国際関係の中で、メルケルのドイツだけが世界の連帯と統一の代表選手となる、というような倒錯的な現象が生じることとなるのは、歴史の皮肉と言うほかはない。






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