本町通夜雪、大伝馬町大丸:小林清親の東京名所図

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(本町通夜雪 明治十三年)

本町通りは、今でいう江戸通りの前身で、日光街道の江戸側の終着点として、東海道、中仙道の起点たる日本橋通りと交差していた。徳川時代から江戸の物流の一大拠点であり、明治以降も反映を続けた。現在では物流の拠点というより、オフィスの立ち並ぶ地帯になっている。

本町通りは、東京で始めて鉄道馬車が通ったところだ。この絵の中の馬車は、鉄道ではなく普通の道を走っている。左手に薬屋の看板が見えるが、このあたりには徳川時代から薬屋が多かったようだ。その名残はいまでも、日本橋の裏通りに残っており、漢方薬を商う店を見ることが出来る。

清親は、夜景と雪景色を描くのが好きだったようだが、この絵は、その二つの要素がともに見える。

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(大伝馬町大丸 明治十四年)

大伝馬町大丸は、今でいう東京駅の大丸デパートの前身だ。徳川時代からの老舗で、越後屋や白木屋とならんで、江戸を代表する大規模な呉服屋だった。

大丸が東京駅に移ったのは昭和29年のことで、それ以前には大伝馬町三丁目にあった。本町(江戸)通りを東に進み、今の小伝馬町交差点を右に曲がったところだ。

大丸は関西から起った店だが、十八世紀の半ばに江戸に進出した。






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