タイの王位継承:ヴァジラロンコン皇太子の即位が決定

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プミポン王の死後保留されていたヴァジラロンコン皇太子の王位継承が実現した。皇太子自身の不人気に加え、現王朝は九代で滅びるという予言が広く信じられていたこともあって、ヴァジラロンコン皇太子の即位はないのではないかとも言われていたが、結局彼が即位するということで最終的な決着がついたわけだ。

その背後には様々な駆け引きがあったと推測される。即位の行方のカギを握っていたのは軍事政権だが、それとの間で妥協が成立したようだ。皇太子はこれまで一年の大部分をドイツですごしていたが、王となって以降も、その生活を継続し、タイ国内にはなるべく滞在しない。また国の政治については余計な口出しをしないというのが条件だったようだ。

タイの軍事政権は、ミャンマーなどと違って権力の正統性が弱い。正統性の淵源は国王の権威にある。そのため、国王を担げないとなると、なにかと不都合が生じる。また支配層も国王の権威のもとにまとまっているといった具合で、国王不在のままでは、権力の正統性と政治の安定が損なわれてしまう。そこで多少不便を忍んでもとりあえずヴァジラロンコンを国王に戴こうという方向で、話がまとまったようだ。

いまのところ皇太子は、軍事政権の言うことに耳を傾けているようだが、いつまでそれが続くかは不透明だ。もし新国王が政治に口出しするようになったら、タイの支配層には頭の痛い状況があらわれると見てよい。





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