天国編への挿絵の三枚目と四枚目は第二十四曲に対応している。ダンテとベアトリーチェの二人は恒星天(第八天)の双子宮にいる。彼らの前へ、天使の霊たちが炎の輪になって現れる。その輪に向かってベアトリーチェが、彼らの喜びにダンテも与らせてほしいと願う。
あゝ尊き羔(彼汝等に食を與へて常に汝等の願ひを滿たす)の大いなる晩餐に選ばれて列る侶等よ
神の恩惠みにより、此人汝等の食卓より落つる物をば、死が未だ彼の期を定めざるさきに豫め味ふなれば
心をかれのいと深き願ひにとめ、少しくかれを露にて潤ほせ、汝等は彼の思ふ事の出づる本なる泉の水をたえず飮むなり。
ベアトリーチェかく、またかの喜べる魂等は、動かざる軸の貫く球となりて、そのはげしく燃ゆることあたかも彗星に似たりき
しかして時辰儀にては、その裝置の輪めぐるにあたり、これに心をとむる人に、初めの輪しづまりて終りの輪飛ぶと見ゆるごとく
これらの球は、或は速く或は遲くさまざまに舞ひ、我をしてかれらの富を量るをえしめき(天堂編第二十四曲から、山川丙三郎訳)
絵は双子宮に立つダンテとベアトリーチェ、及び彼らのまわりをめぐる霊たちの炎を描く。
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