浜町より写両国大火、両国大火浅草橋:小林清親の東京名所図

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(浜町より写両国大火 明治十四年)

明治十四年の一月に東京では大火があった。神田松枝町から出火し、神田および両国一帯を焼き、火は橋を伝って、対岸の本所側まで燃え広がった。東京の下町を焼きつくした明治期最大規模のこの火災を、神田の大火とも両国の大火ともいう。

図柄は、浜町から両国橋方面を眺めたもの。両国橋の西側の、東神田、日本橋一帯が猛火に包まれる一方、火は対岸の東両国にも燃え広がっている。橋が焼けている様子は見られないが、火は橋を伝って対岸に延びた。

火消しの装束をつけた男たちが火の上がる方向を見ているが、その様子からは打つ手がないといった雰囲気が伝わってくる。この時代の消化は、まだ破壊消火が主体だったので、火がこんなに燃え広がると、処置のしようがない。

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(両国大火浅草橋)

これは、両国大火の浅草橋あたりの様子を描いたもの。火元に近いとあって、火の勢いはすさまじい。

左手に見えるアーチ型の橋が浅草橋だろう。中央の高い建物は遊郭かもしれない。その袂の水面には数多くの猪牙船がある。






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