ホロコーストなど起らなかった:世界規模での歴史修正

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世論の右傾化が世界規模で進んでいることの背景では、インターネットが一定の役割を果たしているようだ。日本では、ネトウヨと呼ばれる連中が極右的な言説を垂れ流しているが、それは安倍政権の登場によって励まされた面がある。ヨーロッパでもナショナリズムの高まりに伴い、排外主義的な言説が広まりつつあり、今回のトランプ政権の登場によって、それが世界規模で増幅する事態が予想される。こうした極右的な言説は、極端な人種差別をその共通の特徴としているようだが、彼らの攻撃の矛先は、ユダヤ人とかイスラム教徒へと向かう。


英紙ガーディアンの記事(Google is not 'just' a platform. It frames, shapes and distorts how we see the world By Carole Cadwalladr)が、ネット空間における排外主義的言説をとりあげて分析しているが、それによれば、「ホロコーストは起らなかった」とか、「ユダヤ人は邪悪である」といった言説を、ネット検索の大手であるグーグルが助長しているそうだ。グーグルの検索エンジンで、たとえば「Did the Holocaust happen」と入力すると、「ホロコーストは実際には起らなかった」といった類の記事の目録が、検索順位の上位にズラリと並び、これを学問的に分析した記事は、ずっとあとのほうに出て来る傾向が見られる。ということは、ネットの世界では、事実とは違ったプロパンダ的言説が主流を占めるということであり、場合によっては、人々にこれが標準だと思わせる効果もある。こうした状況が長い年月続けば、歴史が書き換えられる方向へと進むだろう、そう記事は言って鋭い問題意識を提起している。

こうした事実に対して、グーグルは一向に悪びれるところはないようだ。この記事は、グーグルのアルゴリズムを熟知した勢力がグーグルの検索プロセスを意図的に操作し、自分たちの思い通りの情報が世の中に拡散するよう企んでいるのではないか、と指摘しているが、グーグルはそんな事実はないとして、まともに取り上げようとしないそうだ。

人種差別が国際規模で高まると、その最大の標的となるのはいつもユダヤ人だ。なぜユダヤ人がそれほど憎しみの対象になるのか、それ自体も大きな問題だが、ネット上のプロパガンダ的情報操作が、世界史の常識を書き換えることにつながるというのは、恐ろしいことである。(日本語での検索では以上のような傾向は、いまのところあまり強く見られないようだ)





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