四季山水図(秋):雪舟の水墨画

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四季山水図四幅のうち秋図。これも他の三幅同様、高山を背景にした里の風景を描いている。どの山と、どの里をテーマに描いたのかは、全く判っていない。おそらく李在はじめ中国当代の画家たちの絵を参考にして、雪舟が自在に構成したのではないかと思われるが、雪舟が折に触れスケッチしておいた実景をもとに描いたという解釈もないわけではない。

秋の景色ということもあって、霧はかなり大げさに描かれている。ただ、その霧の合間から背後の風景が透けてみえているので、そんなに濃い霧ではないのだろう。また山もそんなに遠くにあるようには見えない。

前景の山里は、樹木の中にたたずんでいるが、その樹木の描き方には、秋らしい特別の様子は見られない。松を中心にしていくつかの木立を配しているところは、他の季節を描いたものと異ならない。

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これは上部を拡大したもの。山の中腹にこもった霧の中から、寺院の伽藍らしいものが見えているが、その様子は日本の寺院とはかなり違って見える。これも中国の画家たちを参考にしたものか、あるいは実景なのか、よくはわからない。






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