四季山水図（ブリジストン美術館蔵）四幅のうち秋図。東京博物館蔵の四季山水図秋図が、画面中央の広い部分に雲煙を配し、それで以て画面を上下に二分しているのに対して、これは背景の山と前景の自然とを近接させて、しかも明瞭な線で描かれている。
背景の山は、いくつかの山塊が固まっているように見えるが、それらは明確に区分けされておらず、山容の描き方も全体的にあっさりとしている。ただ山頂部分に樹木を載せているところは、この時代の雪舟の絵と共通している。
前景は川だろうと思う。その川が遠くの山麓から発して、S字状に流れながら手前で大きなたまり場を作っている。その水溜りには船が浮かんで、釣り人が糸を垂れているようである。
左手前の樹木の葉を赤く染めているのは、秋の感じを出したつもりだろう。山の背後に建物が見えているのは、春図と同じ構図だ。（絹本着色 71.2×44.2cm ブリジストン美術館）
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