オバマケア廃止の政治的インパクト

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共和党主導の米議会が、いわゆるオバマケアの廃止に向けて動き出した。オバマケアについては、トランプも廃止の意向を示していたが、これは共和党が党是のようなものとしていたこともあり、共和党優位の政治状況を踏まえて、一気に廃止してしまおうということらしい。廃止後、どのような形でフォローするのか、いまのところ共和党は明らかにしていない。とにかく気に入らないこの制度をまず潰してしまえという思惑が透けて見える。

オバマケアの制度化によって、多くの無保険者が救われた。そうした人たちは、無保険の時には治療をあきらめざるを得なかったのが、この制度によって救われるようになった。その数は2000万人以上にのぼると言われている。その人たちの今後について、共和党はどのように考えるのか。

トランプ旋風を支えた白人労働者層は、一応オバマケアの制度化以前から、企業が提供する医療保険制度に加入していたケースが殆どと思われ、オバマケアの廃止によって直接影響を受けることはないようだ。影響を受けるのは、最低所得の世帯層だが、これらの層には、黒人やヒスパニックが多く含まれている。白人労働者層を選挙基盤としているトランプにとっては、これらの貧困層がより一層苦しくなっても、自分の選挙にあまり影響がない限り、気にすることもないと思っているのだろう。選挙に直接響くとあっては、もっと慎重になるはずだ。

かつて日本では、小泉純一郎を熱烈に支持した人々が、その小泉純一郎によって、(労働の規制緩和などを通じて)ひどい目に合わされたことがある。その当時の日本人の多くは、自分の首を絞めることになる人物を熱烈に支持していたわけだが、今のアメリカにおいては、選挙民の多くは、誰が自分に利益をもたらしてくれ、誰が自分の首を絞めようとするのか、それぞれの立場に応じて、適切に判断しているということらしい。






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