黄初平図(倣梁楷):雪舟

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梁楷は、南宋の宮廷画家として活躍した人だが、宮廷の雰囲気とは正反対の、禅味を思わせる渋い絵を描いた。その渋さが日本の禅僧たちに受け、禅寺ではもてはやされたという。禅僧の端くれだった雪舟も、梁楷には親しみを感じたに違いない。

黄初平は晋の時代の仙人。羊飼いに出たまま40年も家に帰らなかったので、兄が山へ探しに行くと、兄の眼には石としか見えなかったものが、初平が声をかけると俄に数万頭の羊に変った、という伝説がある。この絵は、その伝説を踏まえたもので、あたかも初平が石を羊に変えようとするところを描いたものである。

梁楷は、「墨を惜しむこと金を惜しむが如し」といわれたように、墨をなるべく節約する減筆という手法を駆使した。雪舟のこの絵も、そうした梁楷の手法を意識的に採用しているようだが、樹木などは太い線で描かれてもおり、雪舟らしさも見られる。(紙本墨画 30.0×30.6cm)

なおこの絵には、「張果郎図」という対をなす作品があったが、原本は紛失して狩野常信による模写図が伝わっている。

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これは梁楷の作品「六祖截竹図」。墨を節約する減筆の特徴がよく出ている。






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