花鳥図屏風(右隻):雪舟

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雪舟筆と伝えられる図屏風が二十点ほど伝わっている。そのうちの何点が真筆かどうか、確定はしていないが、趣向や筆致などから雪舟真筆の可能性が非常に高いものが何点かある。ここに紹介するのはそのひとつで、雪舟らしさが指摘されている。

雪舟の花鳥図屏風の特徴は、山水図を背景にしながら花鳥を配するというものだ。その場合、山水図は、前面に大きな樹木を配し、その周囲に山水の光景を展開させ、そこに鳥獣を溶け込ませるように描くというのが特徴だ。

この図屏風は、左右を一体として構図をとっている。左右それぞれの両端に大きな樹木を配し、その中間を広い空間であらわして、山水の広がりを表現している。この図柄の山水は湖沼の風景なので、鳥獣は鶴のような水鳥と小禽が中心である。

右隻は、春の湖沼ののどかな有様を描く。松の巨木の幹や枝の影に鶴を配し、右端の松の幹の上に二羽の叭々鳥を描いている。

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これは、叭々鳥の部分を拡大したもの。叭々鳥は東南アジアや中国の華南地方にいる鳥なので、雪舟はこれを中国画から借用した可能性がある。

なお、この図屏風は、石見益田城主兼尭の孫宗尭の家督相続祝いに雪舟が描いて献上したものと言われる。落款等がないのは、祝儀の品だからと思われる。(紙本着色 179.1×365.6cm 六曲一双)







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