筒井康隆の慰安婦像への言及は妄言か?

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アイロニー作家の筒井康隆が、ツイッター上で慰安婦像問題に触れてつぶやいた発言が、大変な騒ぎを引き起こしているそうだ。その発言とは、「長嶺大使がまた韓国へ行く。慰安婦像を容認したことになってしまった。あの少女は可愛いから、皆で前まで行って射精し、ザーメンまみれにして来よう」というものだ。これに対して、あらかたの韓国人が激しく反発したほか、日本人にも首をかしげるものが多いのだという。

たしかに文面だけからは、怒れる韓国人たちが言うように、慰安婦を侮辱した妄言と受け取れる。しかしそこは名うてのアイロニーで知られた筒井康隆のことだ。別の意図が隠されていると読むのが、賢い読み方ではないのか。筒井はこの文章を通じて、慰安婦問題をめぐって不毛な感情的対立に陥っている人々(安倍政権も含めて)を皮肉っているのではないのか。

慰安婦像の前で射精し、それをザーメン(精液)まみれにするというのは、いうまでもなく、戦前慰安婦に対して日本人が行なった行為を暗示するものだ。それを今の日本人に向かって勧めるというのは、日本人は過去の行為についてはいささかも反省する必要はなく、かえってそれを誇ってもよいのだと、居直るようなものだ。それをことさらに言い立てるというのは、韓国人を侮辱しているというより、日本人をあてこすっていると受け取るべきだろう。

筒井は、敗戦前の日本人は韓国人に対してひどいことをした、と言っているそうだ。そのひどいことのうちには、慰安婦のことも含まれているのだろう。

筒井と提携関係を持っていた韓国の出版社は、筒井を烈しく非難して、今後彼の本は出版しないといっているそうだ。短絡的で幼稚な反応というべきだろう。





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