サニーサイド(Sunnyside):チャップリン

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「サニーサイド(Sunnyside)」は、「担え銃」から一転して田園地帯の長閑な生活を描いたものである。題名にある「サニーサイド」とは、日の当たる場所という意味だが、この映画の中では舞台となるホテルがある村の名称とされている。そのホテルで住み込みで働いている給仕のチャップリンの、ずっこけた働き振りと甘い恋がテーマである。大した筋書きはない。折角見つけた恋人を、一度は優男に取られてしまうが、それは転寝で見た夢の中の出来事で、現実のチャップリンは抜け目なく彼女と結婚できたという話である。

チャップリンは、ホテルの給仕として支配人と一緒に暮らしている。その支配人のために朝飯を作るのが、毎朝の仕事。だがネボスケのチャップリンは早起きが出来ないので、先に起きた支配人からたたき起こされる。そこでチャップリンは鶏に卵を産ませてそれで卵焼きを作り、牝牛から乳を搾ってミルクを飲む、と言った具合だ。

朝飯が終わると支配人たちは村の教会に出かけるが、仕事に忙しいチャップリンは自然を教会としてかいがいしく働く。大勢の牛に草を食ませるのが彼の大きな仕事だが、その牛がことごとく逃げ出して、村の人々をびっくりさせたりする。

そんなチャップリンが一人の可愛い女性と仲良しになる。この映画の中のチャップリンは、一人前に女性に相手にしてもらえるのだ。その女性がホテルの客に取られてしまうが、それは転寝で見た夢の中でのことで、チャップリンは最後にはめでたくその女性と結ばれるのだ。

こんな具合で、チャップリンの映画にしては、社会批判もなくブラックユーモアもない単調な作品だ。だから当時の観客には受けがよくなかったようだ。チャップリン自身も、この映画の出来栄えには満足しなかったようである。







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