半身達磨(三):白隠の禅画

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三河の臨済宗寺院華蔵寺に伝わる半身達磨像。構図的には、紀州無量寺の半身達磨像と良く似ている。「直指人心、見性成仏」の賛も同じだが、こちらは達磨の顔の上ではなく、斜め左手に配されている。それ故、達磨の視線と賛との間に直接的な対応関係は見られない。

面白いのは、薄い墨で書かれた言葉。「年玉や目でかひ達磨大師かな」とある。「目でかひ」は、「目で買い」に「めでたい」を語呂合わせしたもの。恐らく新年の贈り物として与えたこの禅画に、お年玉として与える白隠自信の気持を書き加えたもので、法語のつもりはなかったのだろう。

上瞼と瞳の部分が色濃く強調されているところは、無量寺のものと同様。福耳や髭の描き方も両者は似ているから、ほぼ同じ時期に描かれたのではないか。とすれば七十歳ごろの作と考えられる。

白隠の描いた達磨像は、白隠自身の自画像と考えられるから、この達磨像は七十歳頃の白隠の表情と受け取ることができる。ということは、白隠は七十歳を過ぎても、このように若々しい表情をしていたということだ。

(紙本墨画 148.2×88.0cm 愛知県、華蔵寺像)






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