苦行釈迦:白隠の禅画

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白隠は、禅宗の祖師を描いたほか、釈迦や菩薩の絵も描いた。そのうち、白隠の描く釈迦は、説法をしたり衆生済度を行う尊い姿ではなく、修行中の姿を描いたものがほとんどだ。修行をする釈迦に、己の姿を重ね合わせていたのかもしれない。

これは「苦行釈迦」と題して、絶壁のようなところでひたすら苦行に励む釈迦の姿だ。釈迦が絶壁で修行したとする言い伝えはどの経典にも見当たらぬから、これは白隠の独創といえよう。この姿を見せられると、釈迦が修行している姿というよりも、即身成仏をめざす苦行僧を思わせる。

賛は「寒雲籠雪夕陽重(寒雲雪を籠めて夕陽重し)とある。洞穴の天井に雪が積もっているところと対応する文句だ。

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これは釈迦の全身を拡大したもの。達磨像とことなり、目を閉じて瞑想するような姿が、穏やかさを感じさせる。白隠はさすがに、釈迦の顔を自分の自画像にかさねることを躊躇したのだろう。

(紙本墨画 62.2×18.2cm 岡山県、曹源寺蔵)






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