鼠大黒:白隠の漫画

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「鼠大黒」と呼ばれるこの絵は、七福神とよく似た図柄だ。船は省かれていてないが、その他の部分には共通するところが多い。中央には、鏡餅を前にして大黒天が座禅を組み、その周りに七福神のほかのメンバーが音曲を楽しみ、ネズミたちが宴の準備をする。これは新年を祝う宴なのだろう。

七福神のうち、毘沙門天の代りに鍾馗が出てくるのも「七福神合同船」と同じだ。ほかの神がみな穏やかな表情なのに、鍾馗だけはむっつりとした顔つきをしている。

背後の軸に書かれている賛も、七福神共同舟と同じようなものだ。おそらく正月祝いの引き出物として描かれたのだろう。その目的は十分に達しているようだ。きっと喜ばれたに違いない。

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これは画面の右半分を拡大したもの。大黒天の右側には黒い袈裟をつけたネズミたちが神妙に着座し、その前を着飾ったネズミたちが歩いてゆく。なかには酒や重箱を運んでいるものもいる。右端に立っている鼠は大きな卒塔婆を抱えていて、それには「鼠師一日拈槌子起示衆曰猫頭来猫頭打」とある。正月でも鼠は猫が怖いのだろう。

(紙本彩色 57.5×102.8cm 大阪新美術館)






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