習近平政権の国民教導政策:弟子規と太極拳

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日本の安倍政権が、教育勅語を学校教育に復活させることに前向きだが、いまのところあまり成果は上がっていないようだ。例のスキャンダルが逆風になって、教育勅語を使って遮二無二国民教導を推進しようとする姿勢が胡散臭い目で見られているからだろう。

一方隣国の習近平政権は、国民教導に着実な成果を上げつつあるようだ。こちらは、日本の教育勅語に代わるものとして、弟子規と太極拳を使っているという。弟子規は国民としての健全な精神を養うために、太極拳は国民の健康な身体を養うために、それぞれ多大な効果があるということらしい。

弟子規は、清の時代に作られた道徳教科書だ。儒教的な考え方にもとづいて、国民としてのあるべき姿について指導するものだ。親には孝を尽くし、目上の者には忠を心掛け、同胞家族仲良く暮らしましょう、というもので、これは教育勅語にも書かれていることを述べているものだ。

一方、教育勅語が最大の眼目としている天皇への忠誠は、国柄の違いもあって触れられていない。だから天皇のために命を捨てなさいといった過激な言葉は見当たらないが、自分のことより国家社会のために尽くしなさいといったことは書かれているようだ。

この弟子規に加え、中国の栄光ある歴史とか伝統を強調し、国民の中国人としての誇りとか愛国心を高めようとする工夫が、最近の中国の教育現場では、数多く盛られているらしい。

こういう形で国民教導が進んでいることについて、安倍政権の諸君はうらやましい限りだろうと思う。しかし我々普通の国民にとっては、道徳の中身まで政権にとやかく介入されるのは、迷惑でしかない。だから、いまの日本のあり方、つまり政権が一方的に国民を教導できていないということは、社会のあり方としては、優れているのだと思う。そんなに簡単に内心の自由にまで踏み込まれるのは、強姦されるようなものだからだ。






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