もう一つの自民党ならいらない:前原体制の民進党

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民進党の新しい代表に前原氏が選ばれた。氏は民主党時代に代表を務めたこともあり、党内では保守派の中心人物ということになっているらしい。筆者は、氏の政治家としての姿勢を詳細に分析したわけではないが、やはり保守派としてのイメージを強く受けている。そこで、民進党がこういう人物を担いで、自民党にかわる政権の受け皿になることができるのか、考えてしまうのだが、どうも世に伝わっている前原氏のイメージをもとに判断すると、自民党の対抗軸となるよりは、補完勢力となる可能性のほうが大きいような気がする。

前原氏の政策を安倍晋三総理のそれと比較すると、そんなに違っているようには見えない。外交的には日米安保堅持論であり、対中政策には及び腰だ。これは、日本にとって望ましい自主外交を追求しないで、アメリカの武力に頼って国の安全を図ろうとしてきた自民党の伝統的な政策と異なるものではない。

経済政策では、国民の共生というようなことを言っているらしいが、その程度のことなら安倍首相も言っている。また、消費税の増税については、民主党時代にレールを敷いたということもあって積極的である。しかし、消費税の増税は安倍総理も必要だと言っており、これも基本的に異なるわけではない。

議論のある原発問題については、将来的には原発への依存を少なくしたいと言っているらしいが、具体的にどうするのか必ずしも明確ではない。それには、最大の支持基盤である連合が、電力労組の圧力で反原発を大きな声で言えないという事情があるようだ。安倍政権は原発を引き続き重要電源として位置づけし続けると言っているので、当面は、安倍政権との間で原発政策での違いは問題にならないようだ。

憲法改正については、前原氏も積極的に議論すべきだとする点で、安倍首相と共通している。その改正内容も、9条を中心に考えているようなので、その点でも安倍首相とあまり違わない。

そんなわけで、前原新代表は、安倍首相とほとんど異なることのない考え方をしている。そうした人を代表にいただくことになる民進党は、安倍政権の自民党とあまり異なるところがないのではないか。それでは、自民党のような政党がもう一つできるだけだ。それでも自民党と異なる政党にしておきたいのは、自民党とは異なる選挙互助会を維持したいという目論見からかと思いたくなる。

ところで、前原氏は、野党協力、特に共産党との協力にはアレルギーに近い反感をもっているようだ。しかし、いまの民進党に、単独で自民党に勝てる自力はない。安倍自民党の人気が地に落ちて、せっかく勝利のチャンスがやってきたというのに、そんな調子では、そのチャンスを生かすことができない。

そんなわけで、前原民進党が第二自民党に固執し、野党との連携にも消極姿勢をとり続けるなら、有権者から見限られることになるだろう。有権者は、もう一つの自民党を期待しているわけではないように思うから。





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