アウン・サン・スーチーのノーベル平和賞剥奪を求める動きが広がる

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アウン・サン・スーチーからノーベル平和賞のはく奪を求める運動が、国際的な広がりを見せているそうだ。英紙ガーディアンの記事によれば、アウン・サン・スーチーからノーベル平和賞のはく奪を求める陳情活動が、ノーベル賞財団に向けて為されている。その理由は、ノーベル賞財団は、自らが付与した平和賞に、受賞した人間が値し続けているかどうか、確認する責任がある。そして、当該の人物が、受賞の意義を著しく逸脱した場合には、それを取り消す必要がある。アウン・サン・スーチーの場合には、まさにこの取り消し事由に該当する。何故なら彼女は、ロヒンギャの人々を相手に行われている虐待に目をつぶっているばかりか、政府軍への攻撃を理由に、ロヒンギャ全体があたかもテロリストの集団であるかのようなことを言っている、というのである。

ロヒンギャ問題は、先日ロヒンギャの過激分子が政府の治安部隊を攻撃したことをきっかけに新たな段階に入った。政府軍は、過激分子だけでなく、ロヒンギャ全体を敵視して攻撃を加えている。その攻撃で1000人前後のロヒンギャの人々が殺され、また、十万人前後の人々が、国境を越えてバングラデシュに逃れている。これについてアウン・サン・スーチーは、政府軍と肩を並べるかのように、ロヒンギャの過激派をテロリストといって攻撃し、ロヒンギャに対する政府軍の攻撃と弾圧行為には目をつぶっている。

ロヒンギャの問題は、なにも最近のことではない。もはや長い期間にわたり、政府側による迫害が続いてきた。今年の二月には、その迫害についての国連人権報告が出て、迫害の残虐性について、詳細に述べている。それによれば、政府軍はロヒンギャを人間として扱っておらず、あたかも家畜を屠殺するように、抵抗するロヒンギャの人を虐殺し、女性や子どもにまで暴行を加えている。アウン・サン・スーチーは、この報告を読んでいないらしく、政府軍による暴行には一切言及することなく、ロヒンギャの人々をテロリスト呼ばわりしている。

アウン・サン・スーチーがノーベル平和賞を受賞したのは、1991年のことだが、その受賞理由とは、自由を守るために権力と戦ったというものだった。ところが自分自身が権力の座に就いたとたん、少数民族の人々の自由を侵害し、彼らに塗炭の苦しみをなめさせている。こんな人間がノーベル平和賞の受賞者として顕彰され続けることは、ノーベル平和賞にとっても不幸なことだ。

ということで、いまやアウン・サン・スーチーからノーベル平和賞をはく奪させるべく、ノーベル財団への陳情活動が、世界規模で広がっているということらしい。(写真は、ミャンマーからバングラデシュへ逃れる人々、ロイターから)





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