国会はあってもなくてもよろしい? 安倍総理の国会論

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安倍総理が衆議院の解散を表明したことを受けて、テレに各局がスタジオに招いて意見を聞いた。そのうち筆者が見たのはNHK(ニュースウォッチ9)とテレ朝(報道ステーション)だが、その場での安倍総理の言うことを聞いていると、日本の政治は自分一人が担っているのだという、いささかあきれた心意気が伝わってきた。

今般の解散に大義がないことは明らかで、大方の国民は安倍総理の党利党略が前面に出たものだろうと覚めた見方をしているようだ。いろいろな批判が安倍総理に向けられているが、なかでも北朝鮮危機が切羽詰まっているときに、選挙などしている場合かという意見がある。NHKもテレ朝も、その意見を安倍総理にぶつけていたが、それに対する安倍総理の答えが面白い。

衆議院が解散されて存在しなくなっても、別に政治的空白が生じるわけではない。その間も内閣が存在して一生懸命働いているのだから、なんら問題はないと言うのだ。こういう言い方をされると、大方の人は、安倍さんは国会を、あってもなくてもどうでもよい存在だと見ているのではないか、そう思わされるところだろう。

安倍総理はまた、北朝鮮に対するトランプの政策を全面的に支持すると表明した。トランプ政権は、武力行使を含めたあらゆる選択肢があると言っているが、日本は、つまり自分は、それを支持すると明確に表明したのだ。ところが、キャスターによって、もしアメリカが北朝鮮と戦争を始めたら、日本はアメリカに味方するのか、と聞かれると、さすがに言葉を濁した。いまの政治状況で、北朝鮮と戦争をしますと言ったら、おそらく選挙は勝てないと思ったからではないか。

それにしても、戦争をするか否かは国家にとって最も深刻な選択だ。その深刻性からして、ほとんどの国は、開戦の意思決定に議会の判断をかかわらせている。ところが安倍政権は、これから開戦につながりかねない重大な事態を予想しながら、その場に国会が存在しなくても別に不都合はない、というようなことを堂々と述べたわけだ。

どうやら安倍総理にとっては、国会というものは、自分を総理大臣に選ぶことよりほか、まともな存在意義はない、と考えているように伝わってきた。





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