安倍総理が衆議院の解散宣告を行ったことで、各政党は一気に選挙モードに入った。たとえ大義なき解散とはいえ、解散となれば次の選挙の準備をしなければならない。本来なら、野党第一党たる民進党などは、自民党にかわる政権樹立を目指して大いに奮闘しなければならないところだ。ところがその民進党が、ぱっとしないどころか、かなり深刻な不振にあえいでいる姿が伝わってくる。
民進党は野党第一党として、自民党と正面から勝負をすべき立場にある。小選挙区制を前提にすれば、自民党と勝負するためには、野党の軸として反自民党勢力を糾合しなければならない。ところが今の民進党は、その軸になれないどころか、自分自身の足で立っているのもままならないといった深刻な状態にある。
いわゆる小池新党が急浮上してきて、自民党への対抗軸を分裂させるばかりか、自分こそが新たな政治勢力として日本の政治を変えるのだと主張しだした。しかもそれが一定程度の影響力を持ちそうな勢いである。ここままだと、小池新党が選挙の台風の目になりそうである。その小池新党に前原民進党は色目を使っているありさまだが、それに対して小池新党のほうは、民進党と政党同士の協力をするつもりはない、ただし民進党のなかの自分たちと仲良くできそうな連中とは個別に手を組んでもよいと言っている。なんのことはない、民進党を解体したうえで、そのなかの一部の（右派的な）連中と連携するのにやぶさかではない、と言っているわけだ。
前原民進党も舐められたものだが、それに対して反撃の一つもできていない。下手に反撃して嫌われるのが怖いといった本音が伝わってくる。
民進党のなかには、小池新党と一緒にやれないから、自民党と一緒にやってもよいという動きもあるようだ。このさいそれもよいかもしれないが、その場合でも、自民党からは、民進党を解体してその一部なら面倒をみてもよいと言われるのが落ちだろう。民進党は、右から左まで多彩な勢力の寄せ集めで、それがいままでは民進党にとっての推進力になってきたところもあったが、ここにきてその多彩さが、小池新党や自民党から付け入られる弱みになっている。
このままだと、民進党にとっては、都議選の再来ともいうべき最悪の事態が待っていると言わねばならない。そうなってしまったことの原因は、何にもまして民進党自体にある。前原体制になってから、民進党はほとんど自民党と異ならない政党になってしまった、と国民の大多数に受け取られているのではないか。自民党との間で差別化を図れないからこそ、小池新党に勢いを持っていかれるわけである。
民進党が今度の選挙に生き残り、さらに今後飛躍するためには、自民党政治との差別化をはからねばならない。その差別化はリベラルの方面に求めるのが筋だろう。たしかに今の日本では、リベラルの人気があるとは言えない。しかし長い目で見れば、民進党が非自民勢力として生き残れる道は、リベラルの方向に通じる道しかないはずだ。（この文章を書いたあとで、民進党が小池新党に合流という観測記事が出回った。いまのところその真偽を含め、詳細はわからない。追って取り上げたいと思う）
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