
クリムトは「水蛇」などの作品で女性の同性愛らしきものを描いたが、「女友達(Die Freundinnen)」と題した晩年のこの作品もその延長上のものだろう。タイトルは「女友達」だが、一見してレズビアンのカップルとわかる。
クリムト自身には同性愛の傾向はなかったようだが(彼は複数の女性に10人以上の子を生ませている)、女性の同性愛者を見る目には、曇りはなかったようだ。しかし彼がレズビアンをモチーフに取り上げるときには、エロティックな興味よりも、そこに純粋な美を認めたからではないか。
ウィーン大学壁画プロジェクト以来、クリムトには女性礼賛的な傾向があった。その女性礼賛が、複数の女性に向けられると、女性同士の性愛への敬慕のようなものになったのではないか。この絵には、そうした女性へのクリムトの敬慕のようなものが感じられる。
女性を単なる肉としてしか扱わなかった弟子のシーレとは、大きく異なるところだ。なお、この絵は1945年に消失した。これは写真に残された映像である。

これは女性たちの上半身を拡大したもの。手前の女性がリーダー役なのだろう。後ろの女性は彼女に甘えているような表情をしてもたれかかっている。
(1917年 カンヴァスに油彩 99×99cm)
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