日立の英原発事業に日本政府が事実上の債務保証

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日立がイギリスの原発事業に乗り出すにあたり、日本政府がこれを全面的にバックアップする方針を安倍政権が打ち出したそうだ。バックアップの内容は多岐にわたるが、ポイントは日立への融資に日本政府が事実上の債務保証をつけるというものだ。これは具体的には一兆一千億円にのぼる日本側の融資について、政府系の日本貿易保険が全額保証するというもので、この事業が破綻した場合には日本国民の負担でリスクを肩代わりすることを意味している。このスキームの策定に当たっては、アメリカの原発事業で深刻な打撃を受けた東芝が先例となっているようだ。

安倍政権がこの方針を打ち出した背景には、今後とも原発を国家プロジェクトとして推進したいという意向が働いているようだ。さらにその背後には、将来日本が世界の原子力大国となり、核武装を含め原子力に関するあらゆるオプションを確保しておきたいという目論見があると考えられる。しかも国内では原発の新増設が困難ななかで、原発関連企業が生き残るためには、積極的に海外展開する必要に駆られてもいる。そういった事情が作用し合ってこのような方針に結びついたのだろう。

だがここまでやると、原発は国家事業の位置づけに格上げされたも同然だ。原発については国民の間に異論があり、その将来的方向付けについてコンセンサスがないままに、安倍政権による原発いけいけの推進路線がなし崩しに進んでいるわけだ。

昨日(1月10日)は、小泉・細川両元首相が原発ゼロ法案を公表して、国会議員を始め国民の間での広い議論を呼びかけた。その中で小泉元首相は、安倍政権が続くかぎり原発ゼロが議論されることはないだろうが、いずれ原発ゼロを掲げる政権ができるにちがいないから、それに向けての準備として今から原発ゼロ法案を議論してもらいたいのだと訴えた。

たしかに小泉元総理が言うとおり、安倍政権が続く限り、原発ゼロの見通しがないばかりか、原子力大国に向けてますます原発を推進しようとする姿勢を強めていくことだろう。小泉総理としては、かつての下僚であり自民党の後輩でもある安倍晋三を打倒せよとは言いづらいだろうが、小泉元総理が言えないことを、我々普通の国民は声を大にして言うべきだろう。でなければ、我々有権者のコントロールのきかないところで、ますます安倍政権が原子力の魅力に夢中になっていくこととなるのは間違いない。





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