トランプは神が創造したのか、それとも猿が進化したのか

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トランプ登場の陰にはアメリカの福音主義者たちの圧倒的な支持がある。福音主義者というのは聖書に書いてあることこそが真実であり、それに反することは虚偽であると主張するばかりか、本気でそう信じている人たちである。アメリカ人の四分の一がこうした福音主義者であるとされるが、社会が安定している時にはあまり政治化することはない。ところが社会が不安定になったり、人々の不満が高まったりすると、一気に政治化する。その政治化の動きがトランプ登場の大きな引き金となったわけだ。

福音主義者たちの特徴をかつて歴史学者のホフスタッターが反知性主義と名付け、アメリカではこのような動きの高まりが定期的に起こると指摘した。また日本の宗教学者森本あんりはホフスタッターの議論を踏まえてアメリカ政治史を再検討し、レーガンの登場や今回のトランプの登場にこの福音主義者たちによる反知性主義の高まりが強く影響していると指摘した。

その彼ら福音主義者にとってトランプの登場は天啓のようなものだ。トランプの登場はキリスト再臨の予行演習のようなもので、この世の不条理を片付けてくれ、我々一人一人に救いをもたらしてくれると本気で信じている。その彼らはトランプを神が創造したもうたと言って崇め祭っているわけだ。こういう人たちがいる限り、トランプの支持基盤が大きく崩れることはないと言われている。

トランプを神の作りたまうものだとする主張に対しては、いやそうではなく、トランプも我々普通の人間同様猿が進化してできたものだと反論する者もいる。そういう反論は一応科学の常識にかなうことはあっても、原理主義的な福音主義者に届くことはないだろうと指摘されている。

トランプを支持している福音主義者たちにとって最も意にかなうことは、トランプがエルサレムをイスラエルの首都と認定したことだ。この認定にアメリカ国内の福音主義者たちはみな感動している。何故ならエルサレムは将来のイスラエルの首都となると聖書には書かれており、その書いてある通りのことをトランプが行ったからだ。

トランプにとってもアメリカ国内の福音主義者にとっても、政治というものは現世に関わるよりも、聖書に書いてあることをその通りに実施すべきなのだ。






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