自衛隊は21世紀の関東軍か?

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モリカケ問題と並んで安倍政権の頭痛の種になっているのが自衛隊の日報問題だ。こちらはモリカケ問題のような疑獄性はないように思われるが、事態の深刻性は比較にならない。なにしろ防衛庁が組織をあげて、国民に対して欺瞞的な行動をとってきたのである。野党の諸君はこれをシビリアンコントロールの問題と位置付けているが、問題の本質を全く理解していないと言うべきである。シビリアンコントロールとは、軍(自衛隊)が政治の監視を受けることを意味するが、今回明らかになったのは、軍(自衛隊)が政治の監視を無視しているばかりでなく、国民全体を愚弄していたということだろう。

しかも自衛隊の現場の制服組のトップたる統合幕僚長みずからが、この欺瞞行為の音頭を取っていたように伝わっている。彼は日報の存在を知りながら、それを防衛大臣に報告しなかったと言うのだから、(もしそれが本当だとしたら)シビリアンコントロールの責任者である防衛大臣を欺いたということになるし、それを通じて国民を愚弄したと言われても仕方がないだろう。問題が表面化して隠しおおせなくなって初めて日報の存在の事実を認めざるをえなかったというのだから、全く無責任な態度と言わなければならない。

日本の軍の無責任の典型として、関東軍の暴走があげられる。関東軍の場合には、現場の参謀将校たちが、自分たちの判断だけで既成事実を積み上げ、それを軍の上層部に認めさせ、その結果軍は無責任が跋扈する集団と化した。こうした軍の無責任体質が日本を敗戦に陥れた最大の原因であったと言ってよい。

無責任という点では、関東軍といまの防衛庁は実に似ている。違うのは、関東軍の暴走が軍の一部の問題に発していたのに対して、いまの防衛庁は組織全体がその無責任にさいなまれていることだ。いわば組織全体が関東軍化しているわけだ。

何故こうなってしまったのか。それをきちんと整理しなければ、日本の自衛隊はいつまでも継子のような取り扱いを受け続けるだろう。なにしろ一人前の組織として最低限の責任意識も持てないようでは、誰にも信頼してはもらえない。





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